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オリジナル印刷のストーリー

『オリジナル印刷』極小ロット
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これは10数年前のお話し。

当時、私たちは紙皿や紙ボウルなど某100均ショップ、某ホームセンター、某CVS、某アミューズメントパーク等からOEM生産を受託しており、繁忙期には大量生産に忙殺されておりました。

その繁忙期では製造部門を2交代(1班はAM2:00~PM17:00、2班はPM12:00~AM2:00出勤)とし、現有戦力のみで24時間体制にて何とか供給を維持継続しておりました。
この勤務体制を5週間継続した時もございます。

但し、こういう状態や仕事というものは長くは続きません。

ご推察される通り、このようなイレギュラーな生産体制というのは現場や財務を疲弊させます。

所謂、「売上は上がるが、利益が無い」状態です。

場合によっては、固定費の上昇に利益が追い付かない(赤字)状態でもありました。
(現場社員の労務費は、残業等含め2倍程になっていました)

このような中でのある年、追い打ちをかけるように原材料や副資材の値上げ話が出てまいります。

更には、この値上話と同じ時期にOEM受注先様からは値下げ要請も入ってきたのです。

さあ、参りました・・・

連日会議を繰り返し、私たちは最終的に次のような【決断】を致します。

「値上げしよう。」
「希望する値段が通らなければ、止めよう」と。

とても大きな決断でした。

何故なら、OEM受注先様を全て合計した総売上は年商の半分を占めていたからであります。
言い換えると、年商の半分を捨てる覚悟をしたのです。

これは、
『今までの売上額を追い求める大量生産・低価格ではなく、他社がやりたがらない事をやろう』という【減収増益】への決断でありました。

目指したのは、【中小企業ならではの小回りとネットワークを生かした小ロット印刷品】。
しかも普通の小ロットではなく、私たちは『極小ロット』と名付けました。

これは極端な例をあげれば「1枚だけでもオリジナル印刷の紙皿を作ります」という事であります。(当時の通常ロットは、7万枚~とか10万枚~というレベルです。)

この決断の裏には、私たちに協力して頂いている紙商社・印刷所・表面加工所・抜き打ち業者などの皆様に相談し、皆様から「一緒にやりましょう!」と賛同を頂けたという事実があります。

どちらの企業様も、ある程度のロットで機械を稼働させる方が生産性も上がり売上・利益も大きいのですが、私たちの提案に快く協力して頂けましたことに改めて御礼申し上げます。

話を戻しまして、それからOEM受注先様との商談に臨みます。
もちろん事情や内情を包み隠さず話しましたが、見事にほぼ全ての案件が無くなりました!

得意先様もさぞ驚ろかれた事でしょう。
『値下げ要請したのに、値上げの見積書が出てくる』のですから。。。

また、私たちはこれらと並行して『極小ロット』の案内を始めます。
同時にHPなども整備し、そちらでも案内を始めました。

ただ、実際に受注するまで私たちも半信半疑の状態です。
といいますのも、単価が通常ロット(数円)の何倍にもなるからです。
場合によっては、1枚100円を超す単価にもなりました。

社内では「こんな値段じゃ注文してくれないだろう」等、様々な意見が飛び交います。

結果は
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バンバン問合せがあり、御注文を頂けました。

具体的には企業の大小に関わらず、ちょっとしたイベント、〇周年記念パーティー、小さなお店(飲食や美容室など)、企画もの、個人の方など様々なところで需要がございました。
(オリジナル印刷ということで、容器としてだけではなくQRコードを印刷するなどの宣伝広告も兼ねれる事も一因にあると思います。)

これらのニーズをお持ちのお客様は、1枚の単価についてはそれほど気にしません。
予算に対しての総額や、これだけの少ない量でオリジナル印刷商品を製造してくれる事に評価をして頂けたのです。

完全に作り手の『思い込み・先入観』でした。

余談ですが、この経験からか今年3月に制定された私たちの【行動規範】の一つに【考動破壊】というものがございます。

これは、
「今までの慣例ではなく、新しい前例を創り出せ」
という意味が込められています。

そして現在では既存得意先様にも『極小ロット』が浸透し、定期的にご依頼を頂けるまで育てていただけました。

加えまして、『極小ロット』を始めてからの副産物と言いますか、大きな気付きを得ました。
この大きな気付きというのは・・・企業秘密にさせて下さい(笑)

これが、オリジナル印刷品(極小ロット)というサービス誕生のストーリーです。

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【アナザーストーリー】後日談

以前に先代(現会長)からお聞きしたのですが、当時、この大きな決断をする際にメインバンクである金融機関に相談に行ったそうです。

金融機関からは「思いっきり止められた」そうです。

しかし、最終的には前述のような決断を敢行しました。

それから2~3年後、金融機関から「あの時の決断は正しかった」と謝罪されたそうです。
見事に【減収増益】の状態になったのです。

そして最後にもう一つ。

私たちの顧問税理士からは「こういうのは段階的にやるもので、一斉にやり過ぎ!こりゃ大変だ!」とお怒りを頂戴したことを付け加えます(笑)
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最後まで、このような長文をお読み頂き有難うございます。

案件の大小に関係なく、私たちと繋がる全ての人との出会い・ご縁に感謝し、私たちのできる事をできる限り行ってまいります。

これからも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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