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改善5Sの勉強の為、増幸産業株式会社様の工場を見学させて頂きました

増幸産業株式会社様に飾られている大砲のレプリカ

2024年6月21日(金)改善5S活動の勉強会として、川口市にある増幸産業株式会社様の工場を見学させて頂きました。

【増幸産業株式会社 様】
増幸産業株式会社様は、創業220年設立102年になる超微粒粉砕機の専門メーカー様です。
増幸産業株式会社の創始者様が作られた大砲の図面
 ※こちらは創業時に作られた国内最古時の大砲の図面
会社公式HP
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増幸産業株式会社様では1994年から”5S活動”(整理、整頓、清掃、清潔、躾)をスタートされ、そこから更に独自に進化。
現在は「SUPER6S活動」として”創造、進化、成功、成長、深奏、幸福(しあわせ)”を目指して活動されていらっしゃいます。

当社・三和紙工㈱でも社内で「改善5S委員会」を設けて活動をしており、その活動のお手本とさせて頂きたく、見学会をお願いさせて頂きました。

というのも、当社の改善5S活動もスタートから数年が経過し、行き詰まりを感じる事が多くなってきていたからです。
社内から改善案を募ってもなかなか出てこなかったり、困りごとなどの相談が出てもそれをスピーディに処理する事ができなかったり。
また、整理整頓を実施してもその状態を維持する事が出来ずに、すぐに元に戻ってしまったり。

そうした悩みを抱える中で、既に30年も改善5S活動を実施されている先駆者である増幸産業株式会社様に教えを乞いたく、お願いさせて頂いたのでした。


当日はあいにく土砂降りの雨。
大変申し訳ない事に駅まで迎えに来て頂いて、会社にお邪魔します。

会社に入ると、玄関から既にピシッと美しい!
階段の壁にも5S活動のポスターなどが貼られていて、とても明るくて清潔な印象です。

まずは会議室をお貸し頂いて、そこでお話をお伺いします。
各参加者におもてなし品をご用意頂いていたのですが、特に素晴らしかったのは

マスコーのSUPER6S「心」の活動BOOK
【今が瀬戸際60点】

というハンドブック。
増幸産業株式会社様が30年かけて培ってこられた5S活動について、意義や実践内容について書かれたハンドブックです。
5S活動とは何ぞや?から、何のために行うのか、どうやって実践していけばいいのかがすべてわかりやすい言葉で明文化されています。
これは凄い……!!!

増幸産業株式会社様のお話を伺っていくと、自分達の考えていた改善5S活動というのが、やや方向を間違えていたのではないかという事に気付きました。
「改善5S活動というのは漢方のようなもの」。西洋の薬や手術のように、悪い部分をスパッと治すようなものではなく、じわじわと効いてくるのだそうです。
増幸産業株式会社で行われている活動は、言ってみれば、人間が健康を維持する為に食べる栄養バランスの取れた食事や適度な運動のようなものなのではないか?という気がしてきました。
故に、増幸産業株式会社では「常に」6Sを意識し改善を考えているのです。漫然と仕事をしていない。澱む事が無いのです。す、すごい……。

質疑応答を経て、皆で工場内を実際に見学させて頂きます。
工場に入るとそこにいた社員の皆様から挨拶の声をかけられ、はっとさせられます。挨拶って本当に印象が大きい!
そして工場内、実際に目にした「整理」「整頓」の現場が素晴らしかったです。
ちょっとした、けれども非常にナイスなアイディアが随所に取り入れられていて、誰でもが自然と整理整頓を行えるような環境になっています。
整理整頓が苦手な人間がいますが、それは「整理整頓された状態」というのがうまく認識できないからです。
これでは良くない、と言われても、何が良くないのかわからない。だから整理整頓ができていない、と、言われてしまう。本人は何が悪いのかわからないので困ってしまうのです。
ですが、増幸産業株式会社では、「これが正しい定位置」というのがすべてきっちり決められて、視覚化されています。そして、定位置「ではない」状態になると、それが視覚的にはっきりわかるようにされているのです。
例えば道具の形状に沿った枠が作られていたり、道具を持ち出す時には持ち出した人間が札をかける事で誰が使っているのかがわかるようにしたり。
そう、
どんな人間でも「定位置」を維持できる
という「環境」が作られているのです。
なるほどこれならば誰でも整理整頓状態を維持できます。

また、毎日・毎週業務時間内で5S活動を全員で行う時間を設けていて、各人の意識に任せるという丸投げをしていません。その為、5Sを「余力があればやる」ではなく、「己の業務」として自分事として捉える事ができます。これにより各人の意識を高める事ができます。

その他にも、なるほどこれなら……と思わされるような工夫や取り組みをたくさんなされていて、何もかもに目を見張らされました。

【工夫の一部】
増幸産業株式会社の改善5S活動の実施例
 ※道具の姿ラインを入れた置き場なので、道具がそこに無ければすぐにわかる。また、使用時は道具のラベルを自分のフックに掛ける事で誰が使用しているかがすぐにわかるという工夫
増幸産業株式会社の改善5S活動の実施例
 ※棚の耐震ネット。震災時の教訓から棚に稼働できるネットを取り付ける事で地震があってもすぐには物が落ちてこないという工夫
増幸産業株式会社の改善5S活動の実施例
 ※固定形状ではない物を常に一定の状態に保つ工夫。揃える目印を付ける事で、誰が片付けても綺麗に同じ形を維持できる工夫



更に、増幸産業株式会社様で感動した事は他にもあります。

増幸産業株式会社様ではSUPER6S活動の他にも、社を挙げてSDGsに取り組んでいらっしゃいます。
SDGsと聞くと、一般的には「リサイクル」とか「環境維持」とか、そういった「企業利益」に直結した活動を思い浮かべがちですが、増幸産業株式会社様では違うのです。

そもそもSDGsとは何か。
持続可能な開発目標(SDGs)
1. 貧困の撲滅
2. 飢餓ゼロ
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤を作ろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任、つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう
です。
増幸産業株式会社様ではこの中の15に該当するマングローブ植林を行っていらっしゃるそうでその大きなのぼりも飾ってあったのですが、それだけではないのです。

見学で回らせて頂いていた研究室の後ろの壁に、ひっそりと貼られていたSDGsの取り組みに関する告知書。
その末尾にそっと書き添えられていた内容に、びっくりしました。

「社内献血活動・フードドライブ(子ども食堂)・サンゴ礁環境保護活動・マングローブ植林活動・ヤングケアラー支援宣言(埼玉県)」

1、2、3、4、10、14、15、16 の取り組みです。

なんの企業利益ももたらさないボランティア活動、それを、増幸産業株式会社様はSDGs活動として行われていらっしゃるのです。
後から会社公式HPを確認させて頂いたところ、子ども食堂やヤングケアラー支援宣言活動に関しての記事も掲載されていました。
(MASUKO SDGs SUPER6S活動)ヤングケアラーについての社内セミナーを行いました

会社の利益になるイメージ戦略としてではなく、大人の責任として。
社会を担う企業として。
持続可能な社会を作っていく為の活動を、増幸産業株式会社様は行われているのです。
す、素晴らしい……!

子ども食堂については数年前からメディアでも大きく取り上げられ国会などでも語られていますのでかなり周知されていると思います。
でも、ヤングケアラー問題についてはまだまだ周知が足りず、言葉自体を知らない人の方が圧倒的多数です。
儒教的思想の強い日本ではヤングケアラーはかつて「親孝行」として語られ、美談として消費されてきた行動であり、それにより子どもの未来が奪られる事の是非については、今でも「仕方ない」と考える人間が大勢いるような、そういう問題です。
それについて関わっても企業の広報にはならないし、利益にもならない。
そう考えると、それでもそれらの支援を行おうとする増幸産業株式会社様の志の気高さに圧倒されてしまいます。

企業が健全であること。
社会が健全であること。

増幸産業株式会社様の活動にはそうした健やかさがはっきりと見え、それは私の眼には非常に若々しく瑞々しい精神であるように感じられました。

増幸産業株式会社様は創業220年の老舗企業様でいらっしゃいますが、起業精神を貫くのは旧態依然とした古めかしさではなく、常に時代の最先端へとアンテナを伸ばす健やかさなのであろうと思いました。
常に精神が若い、故にこそ、常に生き生きと活躍できる。
それこそが創業220年続く事のできる企業の強さの秘密なのだろうと感服いたしました。

増幸産業株式会社様のレベルにまで到達するのは並大抵の事ではありませんが、当社も精一杯頑張りたいと思った学習見学会でした。

お忙しい中をお時間を割いて対応して下さった増幸産業株式会社様、本当にありがとうございました。

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